2006 Fiscal Year Annual Research Report
馬具からみた古墳時代後期の中央周縁関係に関する研究
Project/Area Number |
18520597
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | (財)元興寺文化財研究所 |
Principal Investigator |
藤田 奈美枝 (尼子 奈美枝) (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (20261216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 正子 (中越 正子) (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40280838)
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Keywords | 古墳時代後期 / 馬具 / 横穴式石室 / 鏡板 / 杏葉 / 中央周縁関係 |
Research Abstract |
本研究においては、古墳時代後期の中央周縁関係を考察する目的で、(1)後期古墳に副葬される馬具の所有形態の類型と横穴式石室の規模の相関関係から検討する、(2)金銅装の馬具の形態的様相から検討する、という方法をとっている。 平成18年度は、(1)の検討に関しては、主に西日本の後期古墳を中心におこなった。各地域の様相および畿内との比較検討などについては、現在考察を進めている段階であるが、従前の検討により指摘している、畿内(特に大和)の階層的な優位性については、どの地域との比較においても同様に認めることができた。 また、(2)の検討に関しては、金銅装の鏡板と杏葉に焦点を絞って、保有の有無やデザインに関して畿内と地方の比較検討をおこなった。その結果、以前にも指摘した、鏡板の形態の違い(金銅装の鏡板であるか鉄製の鏡板であるか)に階層的な格差が反映される可能性についてさらに追認することができた。また、デザインに関して、畿内の盟主墳に副葬されるものと地方の盟主墳に副葬されるものを比較したところ、特殊なデザインのものは地方の盟主墳に副葬され、畿内の盟主墳には通有のデザインのものが副葬されること、畿内の墳集墳中の古墳には特殊なデザインのものが副葬されることがあること等が判ってきた。更なる検討をおこなう必要はあるが、その評価については、馬具所有形態の類型と石室規模の相関関係からの検討で指摘した大和の優位性を考慮に入れると、畿内で一元的に生産された金銅装の馬具のうち、特殊なデザインのものが地方の首長に与えられていたという可能性を指摘し得るのではないかと考える。
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