2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520598
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
水野 敏典 Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture, 研究企画交流チーム, 主任研究員 (20301004)
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Keywords | 古墳時代 / 武装 / 儀仗性 / 鉄鏃 / 編年 / 日韓 / 銅鏃 / 地域性 |
Research Abstract |
資料の収集と並行して、この研究に不可欠な古墳時代全般の相対年代観を提示する鉄鏃編年の整備を続け、個別に研究していた前期、中期、後期の編年の統合を進めた。そのなかでも未完成であった古墳時代前期に注目し、弥生時代終末から古墳時代前期の鉄鏃資料を重点的に扱った。 (1)「古墳時代鉄鏃研究の諸問題-東アジアの中の鉄路様式の展開-」『古代武器研究Vol.8』2007.10.18、(2)「特殊器台出土墳墓にみる副葬品構成の変化と初期畿内政権」『王権と武器と信仰』同成社2008.3.9、さらに橿原考古学研究所の研究集会にて(3)「ホケノ山古墳 副葬品とその出土状況」の発表を行った。 (1)は現時点までの鉄鏃研究の成果と問題点を指摘することを目的とした。その中で、古墳時代前中・後期編年を統合したものと、並行する朝鮮半島南部の鉄鏃編年を発表した。これは昨年度の歴博国際研究集会の発表内容を発展させたもので、この科研における大きな成果でもある。単なる編年研究から、地域性の抽出による武器生産による地域間交流の粗密を議論できる段階に入ったこと、そして半島南部、中国東北部を含む広域での型式分布の変化が日本列島の鉄鏃変遷の原動力であり、日本の古墳時代鉄鏃様式が東アジアの地域性の-様相に過ぎないことを論じた。あわせて古墳時代鉄鏃の多くに儀仗的な要素が見出され、周辺地域と比較して鉄鏃型式数が特に多いことを確認し、武器の「象徴性」が今後の武器研究の一分野になることを指摘した。 (2)は従来の前期鉄鏃編年が古墳編年に従属的な問題を解決する糸口として、特殊器台を持つ墳墓の副葬品構成と鉄鏃、絹織資料を集成し、武器副葬の画期が宮山型特殊器台の出現と対応し、鏃身尻平面が丸く、側面に鍛造の面をもつものが古相であることを把握した。 (3)の武器の項において、古墳時代柳葉式の系譜を論じ、弥生時代鉄鏃との技法的な違いの指摘とともに、柳葉式を再分類し、前期鉄鏃編年の基礎をつくった
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