2007 Fiscal Year Annual Research Report
スペイン・バスク地方における言語空間の研究と言語の地理学構築の試み
Project/Area Number |
18520610
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
石井 久生 Kyoritsu Women's University, 国際学部, 准教授 (70272127)
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Keywords | 社会地理学 / バスク地方 / ナバラ自治州 / バスク語話者 |
Research Abstract |
ナバラ自治州の言語空間の諸相を明らかにするために、ナバラ統計局から再加工したデータを入手し、さらに言語政策担当部署や住民への聞き取り調査を実施した。その結果、住民の言語属性により構築される言語空間とその動態、さらにはそこに作用する諸要因が明らかにした。 ナバラのバスク語話者集団や言語空間は、ナバラ自治州の法制度を中心とする制度的環境の作用を強く受け、制度が反バスク語的傾向を強めれば、それに如実に反応し再活性化のペースも顕著に弱まる。さらに、スペイン中央政府やバスク自治州との関係は、州の諸制度や言語空間に複雑に作用するため、話者集団や言語空間の動態は一層不安定なものとなっている。しかし、1990年代のデータから、行政による3つの社会言語圏設定という制度による空間的制御の存在にもかかわらず、いずれの言語圏においても程度の差こそあれカスティーリャ語からバスク語への逆行的言語シフトが進行している点が確認された。このことは、制度側が想定する範囲を超えて、話者集団が活性化し、それを受けて言語空間の変容が進行していることを意味する。 1999年以降の政府のもとで、言語政策も反バスク色を強めた。そのような制度的環境においては、バスク語話者集団の勢力は一時衰退することが予想される。しかし、今回の研究から明らかになったように、ナバラのバスク語話者集団は、刺激さえ与えれば活性化するだけの人口規模と活力を維持している。その動態を継続的に調査することは、今後の重要な課題である。
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