2006 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半のカナダ西岸のサケ缶詰産業における日系漁民と他民族との比較研究
Project/Area Number |
18520613
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
河原 典史 立命館大学, 文学部, 助教授 (60278489)
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Keywords | カナダ / 日系人 / 移住 / 漁業 / バンクーバー島 / 地籍資料 |
Research Abstract |
1910年代後半、スティーブストンからユクルーレットを中心とするバンクーバー島西岸に移住する者は後を絶たなかった。一時には、100人以上の者がここへ渡ったが、カナダ政府は漁業ライセンスの制限を設けたのである。すなわち、ユクルーレットでは50、その北方のトフィーノでは30、バークレー海峡を挟んだバムフィールドでは10に制限された。最も条件のよかったユクルーレットには和歌山県三尾出身者が集まり、やや条件の悪いトフィーノやバムフィールドなどには他の出身者が移り住んだ。 1941年のカナダ・センサスをみると、ブリティッシュ・コロンビア州(以下、BC州)で最も人口の多い民族はイングランド系イギリス人で、およそ40%を占める。バンクーバー島だけをみても、イングランド系の比率はおよそ50%を占める。そして、日本人はBC州で3%、バンクーバー島では2%にしかすぎない。しかし、トフィーノでは、246名のうち最も多いのが73名(約30%)からなる日本人であった。 ケーブルステーションがあったバムフィールドには、それに関係する技師が最も多かった。また、日本人による漁場の発見によって、白人漁業者も1929年の29名から1941年になると47名に増加した。ただし、トフィーノと異なり、バムフィールドでは日本人漁業者の移住が、必ずしも大きな影響を与えたようではなかった。なお、バムフィールドでは、日本人漁業者の土地所有の許可が地籍資料から確認できる。それは、決して差別的な境遇から居住地が限定されたのではなく、漁業者として最適な奥まった入江などに居住地を選択したにすぎなかった。この資料からは、日本人漁業者が徐々に土地を購入していった過程や、それに対して好意的だったのはラトビア系をはじめ、イギリス系以外の移住者であったことなどが推測される。
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Research Products
(3 results)