2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ牧畜社会における「稀少資源をめぐる競合ドグマ」の人類学的再検討
Project/Area Number |
18520617
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
曽我 亨 Hirosaki University, 人文学部, 准教授 (00263062)
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Keywords | 民族紛争 / 稀少資源 / 競合 / ガブラ / 避難民 |
Research Abstract |
I. 学会発表など 1. 平成20年4月、弘前大学で開催された第17回日本ナイル・エチオピア学会学術大会において、飢餓の経験に関するシンポジウムを組織した。 2. 平成20年5月、京都大学で開催された第42回文化人類学会学術大会において資源紛争の文脈で語られている難民経験について報告した。 II.現地調査 : 平成21年2月8日から3月5日にかけて現地調査をおこなった。調査は、避難民生活をおくっていた牧畜民ガブラが帰還しつつある「状況を踏まえ、ヤベロ地域を中心におこなった。調査項目としては、昨年度に引き続き、 : (1)紛争前夜の生態資源の利用状況、(2)誰が稀少性を煽ったのか、(3)どのようにしてその言説が受け入れられていったのか、(4)紛争はどのように始まり、どのように終わったのなか、(5)中立のガブラがどのように紛争に巻き込まれていったのか、(6)紛争後の生態資源の利用状況、などを中心にインタビューした。また、昨年度の調査で、ガブラの人々が家族を分割することで避難民生活を乗り切ったことが明ちかになったので、今年度の調査でも、人々がどのように空間的に分散していたのかを確認していった。その結果、紛争の最中にあっても、家畜は従来放牧していた地域に留め置かれ、自然資源を他民族と共に利用してきたことが明らかになってきた。つまり紛争は、自然資源全般をめぐっておこなわれていたのではなく、幹線道路に隣接した土地や商業施設をめぐっておこなわれていたことが明らかになってきた。
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Research Products
(4 results)