2007 Fiscal Year Annual Research Report
漁民信仰の民俗学的研究-フナダマ信仰を中心として-
Project/Area Number |
18520621
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳丸 亜木 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (90241752)
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Keywords | フナダマ / <精霊型>フナダマ信仰 / <霊性型>フナダマ信仰 / 韓海出漁 / 移住漁村 / 怪談 / 故郷観 / 漁民信仰 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き研究代表者が自己の民俗調査によって既に収集している漁民信仰資料の整理・分析を進めると同時に、<精霊型>フナダマ信仰が展開する山口県大島郡周防大島、および上関町祝島両漁村における漁民信仰の民俗調査を実施した。さらに、山口県下の漁村において韓海出漁や韓国島嶼への移住、移住島嶼、および母村における生活や民俗についての調査を実施し、その資料の整理・分析を進めた。また本年度は、本科研の最終年度にあたる為、研究成果報告書の発行を行った。実績報告書においては、以下の報告を行った。 (1).研究代表者が平成18年度の実地調査の対象地域とした福島県沿岸漁村(いわき市)における<霊性型>フナダマ信仰と、平成19年度に実地調査の対象地域とした山口県大島郡周防大島、同県上関町祝島における<精霊型>フナダマ信仰の調査報告を作成し、伝承主体としての漁民、あるいは船大工を単位として、両地域におけるフナダマ信仰の比較研究を試みた。福島県いわき市では妊婦の毛髪をフナダマの御神体とするフナダマ信仰と漁民生活における女性の位置づけとのかかわりを検討し、鹿児島県坊津などにおける生きた少女の霊力そのものが、その毛髪を提供した船と漁民に継続的に漁獲を呼ぶとするフナダマ信仰とは、また異なる観念が見られる可能性を指摘した。また山口県周防大島、祝島においては、共同漁撈としての鰯曳網漁におけるフナダマ信仰について、陸との去来伝承など<精霊型>フナダマ信仰の特徴について検討した。 (2).戦前、戦中に韓国の島嶼で生まれ、そこで生活した日本人話者からの聞き書き資料から、特にその島で語られていた怪談としての体験談や世間話を整理し、話者の語りに投影されている故郷観や、その語りの背景にある信仰的世界観の特徴を検討し、韓国への移住経験者の語りが歴史的・民俗的資料として如何なる意義を有するかについて伝承主体論との関わりから論じた。
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