2006 Fiscal Year Annual Research Report
現代インド在地社会の民主化における価値と倫理の文化政治学
Project/Area Number |
18520624
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田辺 明生 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (30262215)
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Keywords | 民主化 / インド / 地方自治 / カースト / 派閥 / 在地社会 |
Research Abstract |
本年度においては、1)データの整理と分析、2)補完的現地調査、3)参考文献の読解と分析枠組みの緻密化を行った。 1)データの整理と分析 a)政治過程におけるカースト、所属派閥、ジェンダーごとの資源分配に関する詳細と、b)「あるべき政治社会関係」の価値と倫理をめぐる文化政治的な交渉の詳細の参与観察記録、また、c)カースト、ジェンダー、政治的立場が異なる人々に対して、広範なインタビューの録音記録について整理・分析し、下位カーストや女性が政治過程に参加したことによって資源分配にどのような影響があったか、あるべき政治社会的関係をめぐるカースト間およびジェンダー間の交渉はいかなるものであるか、またさまざまな立場の人はどのような言説や思想に依拠して自らの政治的主張を正当化しているかを分析した。 2)補完的現地調査 平成18年には、5年ぶりにパンチャヤット選挙が行われた。その様子を調査するべく、フィールドワークに赴いた。1992年の地方自治制度改革は、3回目となる選挙では、低カーストおよび女性に対する留保枠の実施も地についたものとなったことがうかがえた。 3)参考文献の読解と分析枠組みの緻密化 本研究課題にかかわる参考文献(二次資料)の収集と読解を進め、現代インド在地社会の民主化に関して、理論的な解釈枠組みをより精緻化していくことにつとめた。 これらの成果として、論文を査読付国内雑誌に一本、また査読付国際学術雑誌に一本を掲載した。また"Towards Vernacular Democracy : Moral Society and Post-postcolonial Transformation in Rural Orissa, India"と題する論文をAmerican Ethnologistに投稿し受理された。34巻3号に掲載予定である。
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Research Products
(4 results)