2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520635
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
黒田 一充 関西大学, 文学部, 助教授 (60351491)
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Keywords | 民俗学 / 祭り / 基層信仰 / 宮座 / お仮屋 / オハケ / オダン / 頭屋制度 |
Research Abstract |
祭りの際に、神霊を迎えるために杉や檜、竹など植物を使って作る施設は、オハケ・オダン・お仮屋などと呼ばれ、神社の社殿ができる前の祭祀の姿を伝えるものとして各地に残っていたが、祭りが終わると破却されるため、これまであまり研究対象とはされてこなかった。しかし、都市化で自然がなくなって材料が手に入りにくくなることや祭りに参加する若者が少なくなって後継者難から、木製の祠などに変わる所が急速に増えている。この研究では、現地調査によってその現状を祭祀組織や儀礼とともに調査するものだが、初年度の平成18年度は、近畿地方を中心にして夏から冬の祭りの調査を行った。 愛知県の津島神社の津島祭の後、同社のお札を祀るためにお仮屋が造られることはこれまでも愛知県内で調査されていたが、その範囲が静岡県から滋賀県東部にまで広がっており、静岡県磐田市周辺の5カ所を現地で確認し、滋賀県でも残っていることがわかった。 秋祭りなどでは、当番の家(頭屋)の家に神霊を迎えることが多いが、奈良県内ではこれまでの調査に加えて、新たに12カ所を調査し、40カ所以上の地区でお仮屋が残っていることがわかった。兵庫県では三田市、赤穂市、たつの市の計5カ所のオハケ、お仮屋を調査した。他にも岡山県では地元の町史に記されていない所も含めて4カ所、島根県松江市、福井県敦賀市で各1カ所を調査した。三重県では名張市が1地区だけしか現在残っていなかったが、伊勢志摩地域と尾鷲市では5カ所でお仮屋、丸注連、巻藁、オハケの調査を行った。また、籾米を祀る仮屋を福島県・茨城県・静岡県の3カ所で調査したが、これは岡山県の美作地域に分布するオイツキ小屋と共通する要素を持っていることがわかった。さらに、山梨県内の小正月に造る道祖神祭りのオコヤを調査したが、御神体の丸石の上に仮屋を造っており、国東半島の事例と共通することがわかった。
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