2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520635
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
黒田 一充 Kansai University, 文学部, 教授 (60351491)
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Keywords | 民俗学 / 祭り / 基層信仰 / 宮座 / お仮屋 / オハケ / オダン / 頭屋制度 |
Research Abstract |
祭りの際に、神霊を迎えるために杉や檜、竹など植物を使って作る施設は、オハケ・オダン・お仮屋などと呼ばれ、神社の社殿ができる前の祭祀形態を伝えるものとして各地に残っていたが、祭りが終わると破却されるため、これまであまり研究対象とされなかった。この研究では、現地調査によってその現状を調査するものだが、2年目の平成19年度は、前年度の成果にもとづき、さらに調査範囲を拡大した。 春祭りでは、滋賀県の北部から福井県南部にオハケが分布しており、その一部を確認した。夏祭りでは、愛知県の津島信仰の仮屋について、愛知県内だけではなく静岡県の伊豆半島まで拡がっていることを確認し、三重県伊勢地方、滋賀県の湖東地方でも確認した。長野県の諏訪大社の御射山祭りにススキで造る穂屋が造られていることは、古くから史料に残るが、現存するところは少なく、今年度は松原湖で確認した。また、東京都青梅市でも同様のお仮屋が残っていることがわかった。さらに、沖縄・久米島の六月ウマチーで造られる籠もり屋を調査した。秋祭りは、前年度に続いて岡山県西部から広島県東部の調査に加え、高知市周辺と愛媛県南部オハケを調査し、近畿地方とは異なる形態のオハケを確認した。また、長野県千曲市では、コハッカイという仮屋を確認したが、祭りの当日の儀礼は来年度に調査する予定である。神社祭祀以外では、講組織で代参者の道中の安全を祈るために造った仮屋については、現存するところが少なくなっているが、山梨県韮崎市の秋葉講に現存することを確認した。また、小正月の道祖神の仮屋については神奈川県内を調査したが、指定文化財となっている大磯町を除き、都市化のために行事そのものが失われて、山間部に残っている程度であった。
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