2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
広渡 清吾 The University of Tokyo, 社会科学研究所, 教授 (60025153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 岩夫 東京大学, 社会科学研究科, 教授 (80154037)
宇野 重規 東京大学, 社会科学研究科, 准教授 (00292657)
水町 勇一郎 東京大学, 社会科学研究科, 准教授 (20239255)
岡野 八代 立命館大学, 法学部, 准教授 (70319482)
仲正 昌樹 金沢大学, 法学部, 教授 (10303249)
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Keywords | 基礎法学 / 思想史 / 社会学 / 社会法学 / 政治学 |
Research Abstract |
本年度は研究のとりまとめにあたる年であり、法学・政治学の視点から希望について考える本研究のこれまでの研究成果の発表に重点が置かれた。 法学においては研究成果にもあるように、広渡が憲法学、佐藤が法社会学の視点から研究を発表した。このうち、佐藤のものは、本研究で行った岩手県釜石市における地域調査の結果でもある。また水町が労働法の視点から希望について口頭発表し、今後論文にまとめる予定である。 政治学では、岡野が政治学会の年報で希望をサブテーマの一つとする特集に論文を発表した他、宇野が同じく政治学会大会の共通論題で希望と格差について研究発表を行った。 さらに希望をめぐる日本での考察について世界の他の地域と比較を行うため、国際シンポジウムを開催し、アメリカ、オーストラリアなどから多数の研究者を招き、発表と討議を行った。 希望は従来、法学や政治学では十分に議論されてこなかったテーマであるが、格差や排除に注目が集まる今日、法学や政治学においても真剣な取り組みが求められるテーマとなっている。本研究は、このような要請に応えるべく、法学や政治学の各分野において希望という視点を取り入れることで、どのように議論が豊かになるかを示すためのものであったが、上記のようにその役割を十分にはたしたと言える。 たしかに権力との関係抜きは議論をすることができない法学・政治学の領域において、希望という捉えがたい、主観的な要因を取り扱うことには十分な注意が必要である。とはいえ、一人ひとりの個人が自らの人生を一定の時間軸において考え、社会的関係を結ぶ際に、希望という視点は不可欠である。 ただし、いまだ法学や政治学における希望論はその初期段階にとどまり、定義や、既存の諸概念との関係も確定的ではない。今後さらにこれらの点についての議論を整理し、さらなる発展を目指す必要がある。
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Research Products
(6 results)