2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530004
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
水林 彪 Hitotsubashi University, 大学院・法学研究科, 教授 (70009843)
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Keywords | 民法 / フランス民法典 / 市民社会 / droits civils / 近代 / 現代 / 公法私法二元論 / 広中俊雄 |
Research Abstract |
研究課題「民法における近代と現代」に関する2007年度研究は、近代民法の原型をなしたフランス民法典における近代と現代について、集中的な研究を行った。その成果は、2008年4月に、「近代民法の本源的性格-全法体系の根本法としてのCode civil-」として、民法研究の専門誌である広中俊雄責任編集『民法研究』5号(信山社)に発表した。 その目次を示せば、次の通りである。 1 広中俊雄『民法綱要』総論における「公法私法二元論」批判の概要、 2 フランス民法典の本源的性格、 (1)規律対象の二面性一個人間関係および個人・国家関係一、 (2)政治社会の法、 (3)全法体系の根本法、 3本源的性格の持続と変容、 (1)持続、 (2)変容 19年度の研究の中心は、2および3に発表されている。 2では、フランス民法典は、「私法」の「一般法」とされる日本民法典とは異なり、日本法の概念をもって表現するならば、「私法」であるばかりでなく、「公法」でもあるような性格の法であったこと、一層正確に特徴づけるならば、フランス民法典は、本来、全法体系(「私法」および「公法」の全て)の根本法としての性格を有していたことを論じた。 3では、フランス民法典のそのような本源的性格が、20世紀70年代以降、とくに21世紀に入って変容していること、具体的には、全法体系の根本法としての地位を、憲法に譲り始めていること、その背景の根本には、経済社会のあり方の変動(土地所有を中心とする経済社会から高度に組織された資本主義経済が社会のすみずみまで浸透した社会への転換)があることを論じた。
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Research Products
(1 results)