2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530004
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
水林 彪 Hitotsubashi University, 大学院・法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70009843)
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Keywords | 民法 / 憲法 / 1804年フランス民法典 / societe civile / Code civil / droits naturels / droits civils / citoyen |
Research Abstract |
本研究の最も重要な成果は、近代民法の原型としてのCode civilについて、これまでの通念とは大いに異なる、次のような認識を得たことであった。 (1) 1804年Code civilは、「私法」の一般法の域をはるかにこえ、societe civile全体を規律する根本法であった。Code civilの規律するsociete civileが政治的かつ経済的な社会であったことを考えるならば、そして、Code civilやsociete civileに共通に認められるcivilなる語に着目するならば、societe civileの基本法がCode civilであることは当然であった。 (2) Code civilの規律するsociete civileは、政治社会でもあったが故に、Code civilは「公法」としての性質も有していた。その「第1編 人」が、societe civileの構成員たるフランス国民であるための要件や(国籍法)、フランス国民身分であることを証する国民身分証書(acte de 1' etat civil)についても規定したことは、そのことを示すものである。 (3) Code civilはフランス国民のdroits civilsを保障することを最重要目的の一つとした。そのdroits civilsは、人権宣言・憲法に言うdroits naturels et civilsであり、その中心は所有であった。 (4) Code civilは、全てのcitoyens(全てのフランス国民)が形成する全社会関係(政治的経済的諸関係)を規律するという意味において、droit commun(一般法)であった。これに対して、憲法は、政治社会のうちの統治機構という部分に関する法律であるなどの意味において、Code civilのdroits exceptionnels(特別法)であった。
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Research Products
(2 results)