2007 Fiscal Year Annual Research Report
性同一性障害と法的対応に関する日欧比較研究-家族関係の視点から
Project/Area Number |
18530006
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田巻 帝子 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 助教 (80251784)
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Keywords | 性同一性障害 / 性別特例法 / Gender Recognition Act 2004 / 性の変更 / 子なし要件 / 性別適合手術 / 親子関係の秩序 / 日本:英国 |
Research Abstract |
1.前年度までの研究を整理したうえで、日本の「特例法」施行3年後の見直しが実際に実現していないことから、日本において何が問題であり、どのようにその問題をクリアしていけるのか、日本社会のコンセンサスや現行制度に照らして、その見直しの具体的な提言をすることを目的に研究を進めることとした。 2.まず、英国を始めとして他国において、GID当事者の社会的・法的認知に関する理解が進むに伴って法を整備してきたという実態や対応を参照して、この各国共通の問題に対する考え方を再検討した。特に「親であるGID当事者」の性の変更を認めることについて、「子の福祉に反しないこと」を条件としていたり、「親の性が変更しても子にとって同じ親であること」を理由に変更を認めたりしていることが明らかになった。そこで、日本の「親であるGID当事者」救済のための「子なし要件」見直しについて、日本の現行法秩序および社会秩序の枠内で採りうる現実的な対応を考察した。その結果、子に対する親の役割・責任を現実に果たすことの意味合いを重視し、現行の「子なし要件」にいう子を未成年の子ととらえ、「親であるGID当事者」に未成年の子がいる場合には、その当事者の性の変更について、家庭裁判所が子への影響や親としての責務を果たすことの有無について考慮した上で最終的に判断するという結論を導き出した。 3.上記2の内容をGID(性同一性障害)第10回研究大会の一般演題で報告を行った。同大会会場で、当事者数名から個別にコメントや質問を得るなどして、意見交換も行った。また、実際の見直しについて、自民党や民主党で勉強会やヒアリングが開始したという情報もあることから、本年中の国会審議も想定されるが、本研究は(日本の)現行の法秩序・社会秩序の中でどのように見直しを考えることが出来るか、要件見直しをどう説明できるかという視点に着目して考察を重ねたものである。
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Research Products
(2 results)