2007 Fiscal Year Annual Research Report
法的思考における原則主義と決議論-法におけるケアの契機とその位置-
Project/Area Number |
18530007
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 高宏 Kyoto University, 大学院・法学研究科, 教授 (00218504)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀本 洋 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30183784)
|
Keywords | 法的思考 / ケア / 決疑論 / 利益衡量 / 法哲学 / 法思考 / 医療 / 法学教育 |
Research Abstract |
服部は、法律学的方法論における決疑論的思考の位置づけに関する検討の成果を整理する一方、決疑論的思考とケア的思考との間の類似性・相違点について考察を加え、さらには法的思考を法独自の合理性を中核とする実践的討議の法的制度化と捉える見方と、ドイツ流の伝統的な制定法への拘束と包摂モデルを中心に法思考を捉える見方を比較することで、日本の法的思考論の二系譜を整理する視点を打ち出し、研究会等で報告を行った。それらの成果の一端を、論文「患者の自己決定と利益保護」(『国際比較からみた日本社会における自己決定と合意』所収)やドイツの法制度論・議会論に関する業績に活かした。また、京都大学院博士後期課程に在籍する大学院生に、医療機関(大規模な大学病院と個人経営の診療所の双方)におけるケア思考の実践を調査させ、両者を比較・検討する調査報告を提出させることにより、その成果を当該研究の遂行に活用した。他方、亀本は、法的思考論における決議論の在り方に関する前年度の取りまとめの成果に依拠しながら、とくに利益衡量論に注目して研究を進めて研究会等で報告をする一方、主に日本の法学・法哲学教育論に関連した業績(「法哲学教育の標準化」)にかかる研究を結実させ、また正義論に関する考察にまで拡げてその成果を活用した(R・ノージックの最小国家論に関する注釈-独立人への賠償はどのようにしてなされるのか」(『国際比較からみた日本社会における自己決定と合意』所収))。最後に、両名が連絡を取り合いつつ進めた研究の成果について、報告書を作成した。
|