2007 Fiscal Year Annual Research Report
「被害」「責任」の認知と医療事故ADRの可能性:法社会学的アプローチ
Project/Area Number |
18530008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 淑美 Osaka University, コミュニケーションデザイン・センター, 特任講師 (20420424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 仁孝 早稲田大学, 法務研究科, 教授 (80183127)
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Keywords | 法社会学 / 医療紛争 / コンフリクト / 被害 / 責任 / メディエーション / メディエーター |
Research Abstract |
平成19年度の研究進捗状況の総括 平成19年度は、平成18年度の研究実績を基盤として、それをさらに深化させていくために、以下の研究調査計画に従って研究を進めた。 1. 昨年度に引き続き、「被害」と「責任」についての医療者側(医師と看護師)と患者側の認識の相違を探るために、さらにインタビュー調査(係争中事例1例含む)を行った。具体的には東京、名古屋、大阪において複数の患者被害者側にインタビューを実施した。医療事故医療者側当事者へのインタビューは、東京、神奈川、大阪において、医師と看護師へのインタビュー調査を実施した。 2. 海外医療紛争処理システムについて、イギリスの制度やその実態を中心に文献研究を実施した。 3. さらに、海外調査として、英国において、ロンドンの複数のNHSトラストでの調査を実施した。 具体的には、Hammersmith & Chelsea NHS Trust Royal London NHS Trustにおいて、院内のスタッフ関係メディエーション、 Complaint ManagerおよびPALS (Patient Assistance & Liaison Service)の担当者へのインタビュー、さらにKentにおいて、医療メディエーション機関での調査を実施した。 4. 引き続き、法社会学的観点からの「対話による医療紛争交渉スキル」のプログラムの有効性と習得性調査のために、財団法人医療機能評価機構の認定病院の医療安全に関わるリスクマネジャーを対象に、質問調査紙による調査を実施した。 これらの中間的成果として、雑誌『看護管理』に10回にわたる、医療事故紛争処理に関する連載を執筆した。 また、日本学術会議特任連携会員として、医療事故紛争処理システム分科会にて、調査に基づく治験を提供した。最終年度である平成20年度は、これらの四つの調査やこれまでの中間的研究成果をふまえ、あるべき医療事故紛争解決システムについて提言を行うことにしたい。
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