2008 Fiscal Year Annual Research Report
戦後ハンセン病患者運動史と批判的人種理論による平等原則の機能転換に関する研究
Project/Area Number |
18530011
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
森川 恭剛 University of the Ryukyus, 法文学部, 教授 (20274417)
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Keywords | ハンセン病 / 差別問題 |
Research Abstract |
本研究は戦後日本のハンセン病当事者運動とアメリカの批判的人種理論に学び、日本国憲法14条の平等原則の意義を捉え直そうとするものであり、その第3段階にあたる平成20年度は、ハンセン病差別やジェンダー正義の問題を具体的に考察しながら、社会的差別を解決するために平等原則にどのような社会的・法的機能が求められているかを検討した。 まず全国ハンセン病療養所入所者協議会が中心となり制定運動を展開した「ハンセン病問題基本法」について、その理念がハンセン病隔離政策による被害回復であり、そのための具体的な方法としていわゆる「療養所の社会化」条項が盛り込まれたことから、同法が平等の法的価値の実現を目的としたものであり、その運用のために社会運動論的な検討が求められているとを明らかにした。 次にジェンダー正義について、具体的にはドメスティック・バイオレンスの被害者による加害者の殺害行為に正当防衛が成立しうるかという刑法的な論点をめぐって、性的平等という法的価値が、実定法解釈論を導く指導理念となりうるとを明らかにした。 このような2つの問題の検討を通して、平等原則が配分的正義に関わるだけでなく匡正的正義の意味で機能しうること、また機能すべきとを考察した。
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Research Products
(2 results)