2007 Fiscal Year Annual Research Report
行政法理論のダイナミクス研究:制度改革を機縁とする理論の変容
Project/Area Number |
18530021
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中川 丈久 Kobe University, 法学研究科, 教授 (10252751)
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Keywords | 行政改革 / 地方分権改革 / ガバナンス / 政府 / 市場 / 自治 |
Research Abstract |
岩波講座論文が,今期の研究内容を成果として発表(1)したものである。同論文では,1970年代の行政過程論,そして1990年代から2000年代に一連の立法として成果を挙げた行政改革,地方分権改革および司法制度改革などによって,現在きわめて多様な行政法制度が成立していることを説明するため,日本の統治システムを,政府(統治機構)と社会(市場・市民)と社会的諸集団(自治的団体など)の3つの場におけるガバナンス・ミックスとして捉える方法を提案した。 にれは,政府(統治機構)のみで社会統治をすることは不可能であり,市場や自治的集団の力を借りて,それぞれがもつガバナンス力を利用する必要があるというアイデアにたつものである。その結果,政府による権力的ガバナンス,市場による競争ガバナンス,自治的集団による交渉的ガバナンスという3つを基本に,それらを組み合わせたり(ガバナンス・ミックス),また,政府や自治的集団それ自身のガバナンスを維持するための仕組みも必要になるという形で,統治システムの全体を理解するという体系的理解を得た。 取り上げられている例としては,行政と行政権,法の支配などといった古典的概念との関係,行政改革等を経て,政府それ自身のガバナンスを維持するための法制度が広範に成立していること,再開発組合などの制度については自治的集団のガバナンス力を政府が利用する仕組みであると説明されること,「私人による行政」現象などである。
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