2008 Fiscal Year Annual Research Report
法と経済学によるタックス・エンジニアリングと社会保障:所得税法の近代化と立法学
Project/Area Number |
18530029
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木村 弘之亮 Nihon University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (60051885)
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Keywords | 公法学 / 社会法学 / 政策研究 / 応用数学 |
Research Abstract |
第1論文「英国の所得税法における家族課税と租税債権給付:児童貧困の撲滅と働きがいのある社会保障給付を目指して」では、連合王国(イギリスなど)における児童Tax Creditおよび就労Tax Creditを紹介し分析し、それらが所得税法と統合されつつあることを明らかにした。第2論文「イギリス議会における省令承認手続き-社会保険料率を中心として」では、連合王国は、政令、省令など(法規命令)は、国会に提出され承認を要する手続法が制定されていることを紹介し、日本においても国会法を改正するなどして、政省令承認手続き法を制定すべきことを提言する。第3論文「社会保障制度と租税法-憲法84条からみた社会保障と租税の統合」と第4論文「国民年金は第2の税金か:標準報酬と課税標準の統合(上)(下)」において、国民年金及び関連法(国家公務員等共済組合法、私学教職員共済組合法)において規定されている、標準報酬制度を数理分析し、その不合理性を指摘した。標準報酬制度に代えて保険掛け金の算定基礎を稼得所得と改め、所得税源泉徴収制度の枠内において、保険掛け金を徴収すべきことを提言。さらに、日本の社会保障法の重要な規定が、法律、政令、省令に明記されずに、連合共済組合規程などにおいて定められており、国会によるコントロールが及んでいない事実を、明らかにする。これは、第2論文で紹介した連合王国の法状態と極めて異なることを明らかにする。日本の社会保険制度は、稼働世代が年金受給者に保険掛け金を支給するといういわゆる賦課方式を採用していおり、しかも、拠出する元本相当額を返還されないので、保険掛け金は、第2の税金の性質を有する。このような釈迦保険掛け金を徴収する、員外行政について、国会のコントロールはほとんど働いていない。この状況を改めるため、政省令承認手続き法の制定に向けて、日本弁護士連合会は平成21年度人権行動宣言のなかで取り上げる、見込みである。
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Research Products
(7 results)