2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530048
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山本 雅昭 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (30380124)
|
Keywords | 経済刑法 / 経済犯罪 / 独占禁止法 / 不当な取引制限 / 入札談合 / 官製談合 |
Research Abstract |
本研究課題に取り組む初年度に当たり、独占禁止法罰則に関連して近年顕著にみられる犯罪形態についてその実体法上の問題点を整理するとともに、諸外国において反競争的行為に対しとられている規制の在り方について概観した。 前者に際して取り上げたのは、入札者間の談合に入札実施者が関与して行われる不当な取引制限の一形態すなわち「官製談合」である。従来、「官製談合」が独占禁止法罰則違反のほか刑法犯として規制される場合をも含めてどのように擬律されてきたのかを判例に表れた「官製談合」事案に即して振り返るとともに、「官製談合」に対する規制の在り方として、入札実施者を不当な取引制限の狭義の共犯として取り扱うのはもちろんのこと、入札実施者(「官製談合」事案では国や地方公共団体等)が組織的に談合に関与している場合について、入札実施者を事業者と捉えた上で、両罰規定を適用して不当な取引制限の正犯として取り扱う可能性について考察し、その成果を、日本刑法学会関西部会例会(平成18年7月23日)において「官製談合の刑事規制」と題して報告した。 また、諸外国において反競争的行為に対しとられている規制の在り方を把握する端緒として、ヨーロッパにおいて経済犯罪対策全体の中で反競争的行為に対する規制がどのように位置付けられているのか、ヨーロッパ憲法条約が発効することになった場合にヨーロッパ各国の経済犯罪対策がどのように調整されることになるのかという問題関心の下、ドイツ経済刑法の第一人者クラウス・ティーデマン博士の論稿をはじめとして広く経済刑法に関連する欧文の文献を収集省察し、とくに同博士の論稿のひとつについては、「神山敏雄先生古稀祝賀論文集第二巻経済刑法」において「欧州憲法条約における経済刑法」としてその翻訳を紹介した。
|