2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530048
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山本 雅昭 Shizuoka University, 大学院・法務研究科, 准教授 (30380124)
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Keywords | 経済刑法 / 経済犯罪 / 独占禁止法 / 不当な取引制限 / 入札談合 / 官製談合 |
Research Abstract |
平成19年度においては,入札者間の談合に入札実施者の職員等が関与した場合に対する刑事規制の在り方について我が国とドイツの法状況の比較を進めてきた。とくにドイツでは,ヨーロッパ競争法との調整を念頭に置いた競争制限禁止法の改正が相次いだ。その結果,ドイツ固有の規制が後退する一方で,官製談合の経済的側面については行政的対応をとる方向を堅持しつつ,官製談合の刑事犯的側面についてはこれを職務犯罪と構成して対処する方向がより明瞭になったとの概観を得た。そして,こうした動向を踏まえ,官製談合の刑事犯的側面に関するドイツ連邦通常裁判所の判例には今後大いに変更の可能性があると予想されるとの試論をまとめた。 また,平成17年法律35号による独占禁止法改正で導入された課徴金の措置減免制度の施行状況がようやく明らかになり,同法の措置体系のバランスが急激かつ大幅に変化しつつあることが独占禁止政策当局の実務担当者との懇談等を通じても確認された。その結果,先ほどの改正後における独占禁止法の措置体系及び独占禁止法をはじめとするおよそ競争法に違反する行為への対応の体系について,従来の把握の仕方を改めるべき時期が到来したことが認識されるに至った。そこで,こうした法状況の変化について刑事法的観点からその概観を呈示する必要性のあることを痛感していたところ,急展開をみせる経済刑法研究について概説を発表しようとする企画が経済刑法研究会(大阪経済大学斉藤豊治教授主宰)参加者を中心に進行中であったので,その一環として近々発表する予定である。
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