2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
貝瀬 幸雄 東北大学, 大学院法学研究科, 教授 (90169376)
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Keywords | 国際民事訴訟法 / 国際裁判管轄 / 手続的正義 / 手続権保障 / 比較法 / 杉山直治郎 / グローバリゼーション / 公正 |
Research Abstract |
グローバリゼーションの進行とともに、国際裁判管轄理論の核心は、物理的な国家高権から公正の問題へと移行しつつある。国家法を超えて妥当する「管轄決定上の諸利益のドグマティーク」を発展させ、その力を借りて「法政策的に正しい管轄法」の発展につとめるべきであるとか、「実効性のある権利保護」(国際裁判管轄法を正当に形成するように求める当事者の権利)と「管轄決定上の国家の立法政策」との調和をはかるところの、《管轄決定上の手続的正義》こそが、国際裁判管轄の評価基準であるとか構成する見解に代表される「国際裁判管轄の理論史」を比較法的に辿れば、公平・手続的正義・訴訟経済の観点から、伝統的な「原告は被告の法廷に従う」というマキシムの再検討が必要になってきていることが判明するであろう。国際裁判管轄の配分は、本案判決の結論および各当事者に対する手続権保障に決定的な影響を及ぼすから、憲法32条の定める裁判を受ける権利が両当事者に公平に保障されるように決定されなければならない。これを被告の立場から構成すれば、フェアな法治国家上の手続を求める憲法上の権利が被告側にあることから、被告の裁判を受ける義務が生ずるのは、実効性のある防御の機会が現実に保障されている裁判籍に限られるのである。訴訟当事者の基本的手続権保障の憲法化および国際化を背景に、国際民事訴訟法の基本原則としても手続権保障が確立されるにいたっている。国際民事訴訟法研究に不可欠の比較法基礎理論の領域では、わが国における比較法学の確立者杉山直治郎につき、第2次大戦中に発表した諸業績を中心に整理をこころみた。
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