2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530055
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
前田 泰 群馬大学, 社会情報学部, 教授 (40209391)
|
Keywords | 医療同意 / 同意能力 / 意思能力 / インフォームド・コンセント / 医師の説明義務 |
Research Abstract |
医療行為に対する同意能力が問題となる場面を明確化する作業として、治療行為における同意が問題となった判例を収集・整理して検討した。医療行為には、治療行為の他にも治験や臨床試験を含む実験、臓器移植等も含まれるであろうが、これらには、本研究が目的とする同意能力の前提にあると考えられるインフォームド・コンセントの理念の観点からは、通常の治療行為とは異なる面があると思われるので、当初の作業としては除外した。そして、まず、治療行為前の段階で同意能力が問われる問題として、精神医療における入院同意の問題を検討したが、自由入院、任意入院、医療保護入院および措置入院の現行法の入院形態の下では同意能力の問題が顕在化せず、本研究の検討の素材が得られないことが判明した(顕在化していないこと自体は大きな問題である)。 このため、次に、治療行為後の訴訟において医師の説明義務違反が訴求された判決の中から、患者の同意能力に関係すると思われた判決を収集・整理して検討した。ここでも、同意能力に直接関係する判決はわずかしかないため、患者本人以外の者の同意ないし本人以外の者への説明義務が問題になった判決をできるだけ網羅的に収集し、(1)未成年者に関する判決と、(2)成年者に関する判決とに区分し、成年者に関してはさらに事案により若干の分類を試み、さらに(3)ガン等の難治疾患において患者本人への説明が行われないケースも併せて検討した。以上の作業を、「治療行為における同意能力」(群馬大学社会情報学部研究論集第14巻)にまとめた。 なお、「能力」に関連する作業として、責任能力ある未成年者の不法行為に対する親権者の監督責任が問われた最高裁判決(平成18年2月24日第二小法廷)を検討し、責任無能力者に対する民法714条の責任のあり方を再検討すべきであるという問題提起を行った(私法判例リマークス34号)。
|
Research Products
(2 results)