2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530057
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
金岡 京子 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋工学部, 准教授 (70377076)
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Keywords | 民事法 / 保険法 / 既契約変更 / 補充的契約解釈 / 疾病保険契約 |
Research Abstract |
平成21年度は、保険法施行までに、保険法に対応した既契約保険約款の変更も必要とされたため法改正および立法を理由とする既契約の保険約款変更手続の実効性確保に関する理論的研究および実務の実態調査を集中的に行った。 特に、傷害疾病保険に関する規定が日本で初めて保険法で定められたことおよびドイツにおいて疾病保険契約法が大幅に改正されたことを踏まえ、疾病保険の既契約保険約款の変更に着目して、ドイツ法との比較法的検討を行った。 本研究を遂行するために、ドイツのベルリン自由大学法学部において、保険契約法文献調査、判例調査、研究討論を行った。特にユルゲン・プレルス教授との共同研究を通して、締約強制や危険選択の禁止(ドイツ保険契約法193条5項)を内容とするドイツの改正疾病保険契約法の基本タリフの規定そのものが、保険者の職業の自由、結社の自由に関する基本権を侵害するか否かという重要な憲法問題と関連する研究を進めることができた。 その成果として、ドイツ疾病保険契約に規定された私疾病保険契約に関する法律上の制限とそれに伴う既契約約款の変更が、日本の今後の私疾病医療保険制度改革及び現行既契約約款変更との関連でどのような学問的意義を有するかについて、保険学セミナーで研究報告を行った。この報告内容は、立法による既契約変更手続の実効性確保と判例分析による憲法上の問題点をさらに補強したうえで、論文として公表する予定である。
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