2008 Fiscal Year Annual Research Report
先進諸国の政治-制度と所得格差との関係についての比較政治学的研究
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18530089
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
桐谷 仁 Shizuoka University, 人文学部, 教授 (30225106)
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Keywords | 所得格差 / コーポラティズム / 資本主義の多様性 / 政策レジーム / 新制度論 / 国家 / 比較政治経済学 / 労働政治 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度にあたるので、まず第一に、最近の「資本主義の多様性論」の新たな展開を踏まえて、その概括的な論考を「コーポラティズム論から『資本主義の多様性論』へ?リベラル・デモクラシーの政治経済体制をめぐる一考察」として公刊した。第二に、昨年度に引き続き、賃金設定過程の団体交渉中心的な視点から政策志向をもったアプローチへの視座の転換を強調した「政策レジームと所得格差:賃金交渉制度論から政策指向型アプローチへ」という点について考察を進めた。 第三に、私が本研究に関連して提示した説-すなわち、所得格差と政治制度配置(労働の組織間関係の集中化)との関係が、負の単線的な関係にあるのではなく、U字型関係にあるという説について、ILOやOECDなどの文献調査や統計資料の分析等をおこない、OECD諸国の各種の所得格差に関連するデータの収集やそれに深く関わる各種の指標についてのデータを収集整理する作業をおこない、その補強のための調査を遂行した。 そして、こうした各種の所得格差の指標と、各種の政治-制度の諸要素との関係について、パネル・データをめぐる種々の分析方法の適用を試行しながら、その関連性を探究し、そして、いくつかの連関性を索出した。そして以上の成果は、本研究の成果報告書のなかに盛り込むことになる。
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