2006 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本の東アジア秩序構想の展開と挫折1874-94年
Project/Area Number |
18530115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大澤 博明 熊本大学, 法学部, 教授 (70213684)
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Keywords | 大久保利通 / 岩倉具視 / 国際協調 / パワー分布 |
Research Abstract |
日本外交における国際協調の模索と協調策の形成(1874-1881年)に関する分析によって以下のような知見を得ることができた。 1.当該期における国際協調の主要な推進者は、大久保利通や岩倉具視といった日本政府首脳であったこと。そして、日本の対清・対英協調策は、ロシア脅威論に基づくものであり、それを前提として、どのようにして安定的な南アジア秩序を構築するかという課題のものとに遂行されたものであることが裏付けられた。 2.日本の国際協調策は、大久保が主として対清協調策の具体化を図り、岩倉が主として駐日イギリス公使を通じた対英協調策を担当するという一種の分業的関係にあったこと。これに関しては、以下のような形で史料的な裏付けを得ることができた。即ち、大久保の意向は駐清外交使節の構成と清の駐日公使派遣に伴う対応に反映していること、また、岩倉が駐日イギリス公使と機密度の高い事項について、きわめて詳細かつ具体的な形で頻繁に意見交換を行っているたことである。 他方で、政府内部にも存在していた外征派ないしは対外的影響力の拡大を思考する勢力の対外構想については、以下のような方法を以てアプローチした。 まず、東アジア地域における、日本、清、イギリス、ロシア、アメリカなどの諸国の軍事的投入能力について、各々の陸海軍の数量的把握に努めた。内外の先行研究においてもこれらの基礎的データは、まとまった形では提供されていないようである。このため、断片的な資料をつなぎ合わせて大まかな全体像を再現する手法をとり、一定程度の再現が可能となった。 次に、東アジアにおける各国のパワー分布状況が日本での対外政策論にどのような影響を与えたと考えることができるのかに関して論的検討を加えた。
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