2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代目本の東アジア秩序構想の展開と挫折1874-94年
Project/Area Number |
18530115
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大澤 博明 Kumamoto University, 法学部, 教授 (70213684)
|
Keywords | 国際協調 / 日清協調 |
Research Abstract |
日本外交における国際協調の確立期その1(1882年〜)、国際協調の確立期その2(1885年〜)、囲際協調の変容期(1891年〜)に関する分析によって、以下のような知見を得ることができた。 1.朝鮮をめぐる日清戦争の原因を形成することになったと多くの先行研究が論じてきた1882年の朝鮮壬午軍乱について日本側の対応を再検討した結果、日本政府が朝鮮を排他的に支配する意図を固め清(中国)との戦争を視野に収めた政策を採用したとする従来の多数派の見解は、軍事観点と政治的観点から、成り立ち難いことが裏付けられた。 2.同じく朝鮮をめぐる日清戦争が事実上既定路線化したと位置づけてきた1884-85年の甲申事変について日本側の対応を再検討した結果、日本が官民あげて朝鮮を排他的に支配する意図を固め清との戦争を覚悟して軍備拡張政策に邁進したとするこれまでの研究は成り立ち難いことが裏付けられた。そのような従来の研究は、日本の軍事政策を客観的に分析し評価する視点に乏しかったことによる。 3.日本の朝鮮政策は、朝鮮をめぐる対清戦争への道を一貫して歩んできたとするこれまでの日本外交史像は実像とはいえず、むしろ、それとは逆に、清との協調を含めた国際協調策を追求する有力な路線が存在し、時とともにその路線が国内に浸透していったことが確認できた。シベリア鉄道建設が日本の東アジア政策にどのような影響を与えたかに関しては、通商上の観点を重視する議論と軍事的政治的観点を重視する議論の比較検討を行い、議論の特色を把握することに努めた。
|