2006 Fiscal Year Annual Research Report
EU環境ソフト・ローにおける持続可能な発展の政治言説-環境言説連合構築の観点から
Project/Area Number |
18530124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University of International and Information Studies |
Principal Investigator |
臼井 陽一郎 新潟国際情報大学, 教授 (90267451)
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Keywords | EU / 環境政策 / ガバナンス / ソフト・ロー / 言説 / 言説連合 / 持続可能な発展 / 環境政治 |
Research Abstract |
本研究は三ヵ年度にわたる。初年度となる本年度は次の三つの作業を行った。 第一に、言説(discourse)を主題とする社会学・政治学の研究について、とくに基本概念枠組みや理論形成のあり方に注目して、近年の研究動向を追った。その際、EUガバナンスの研究に対して、言説論がどういった意義をもつかを検討した。第二に、70年代のEU(当時はEEC)環境政策・法形成初期段階の政策文書を調査し、環境規範が公式文書でどう表現されているかについて分析した。またこの初期段階でのソフト・ローの利用について考察するための基本文書の特定も行った。第三に、環境言説の主要な源泉となってきた緑の党の政治言説について、とくに英国緑の党の欧州統合観に着目しながら、また欧州議会選挙におけるその主張を追いながら、70年代後半より現在に至る政策綱領文書を吟味した。 以上の作業の一端は、世界政治研究会(2006年11月、東京大学山上会館)で報告し、有意義なコメントを得た。また第一の作業は、「EUガバナンスの研究と言説構成論の試み」と題する論文にまとめ、『新潟国際情報大学情報文化学部紀要』第10号に発表した。さらに第二の作業については、その一部を、'An Evolving Path of Regionalism : The Construction of an Environmental Acquis in the EEC and ASEAN'と題する論文の第2章にまとめ、ISS Research Series(東京大学社会科学研究所公刊の論文集)に発表した。 第三の作業については、各国緑の党の連合体である欧州緑の党の政策綱領文書の検討につなげていく必要があり、次年度以降は、この作業に加えて、EU(EEC)環境政策・法形成初期段階におけるEU(EEC)各機関内の環境言説との比較検討に進んでいく予定だ。これと平行して、持続可能な発展の政治言説の源泉、伝播過程、政治主体ごとの意味理解のズレなどについて、形成期と現在の戦略文書化段階の双方の立ち入った分析を行うとともに、ソフト・ローに表現される持続可能な発展の政治言説の特定を試みていく。
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Research Products
(2 results)