2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530127
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
焼田 党 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (50135290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 雅敏 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (00201012)
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Keywords | 人的資本形成 / 経済発展 / 人口変動 |
Research Abstract |
本年度は子供の数と質(教育)の間のトレードオフと子供の教育について家庭内での親の能力の影響と学校教育の質の代替性を仮定して、経済発展の進展に伴って賃金率が上昇するときに、経済の成長がどのような要因によって進展するかを検討するための動学理論モデルを構築し、その仮想経済の発展過程を分析した。後者の仮定は多くの先行研究において補完性を仮定していたのと異なる。本研究では、子供は家庭で親の背中を見て学ぶこともできるし、親の能力が十分でない場合には学校で学習することもできることを代替性によって表わそうとしていることが特徴である。賃金率が低い段階では物的資本蓄積が成長のエンジンであるが、賃金率についてある閾値を越えると人的資本蓄積が取って代わる可能性が示された。しかし、親が子供の学校教育が必要としない傾向にある場合には、発展の罠に陥る可能性があることも示された。人的資本形成が成長を進展させる状况では、一人当たり所得が増加するにもかかわらず、若年人口/労働人口が貯蓄率とともに低下することが示された。若年人口・労働人口の低下が人的資本形成の昂進とともに貯蓄率の低下を伴うとする結果は、従来のHorioka(1997)やKogel(2005)の研究とは異なる理論的可能性を示しており、将来の貯蓄率と人口年齢構成の実証分析において人的資本蓄積を考慮する必要があることを示唆する重要な知見であると考えられる。この研究を応用経済学会2007年度秋季大会(中央大学)および北海道大学他において報告した。
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