2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溝端 佐登史 京都大学, 経済研究所, 教授 (30239264)
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Keywords | 社会的責任 / ステークホルダー / コーポレート・ガバナンス / インセンティブ / インフォーマル制度 / 社会政策 / グローバル化 / 体制転換 |
Research Abstract |
本年度は人的資本形成をめぐるロシア企業におけるコーポレート・ガバナンスの動態と制度を実証研究するとともに、本研究課題にかかわって現地調査のパイロット調査およびアンケート調査のための準備作業を重視して研究を行った。第1に、ガバナンスの実証研究に不可欠な作業として、体制転換が世界経済にもつ意味を国際共同研究にもとづいて明らかにした。体制転換のもつ意味を市場移行だけでなく、近代化、企業の社会的機能の再編、国際分業の再編の4つの軸でとらえる有効性を明らかにし、2006年9月ケンブリッジ大学、2007年4月ロシア高等経済大学院において学会報告した。第2に、フィールドワークに立脚して、企業の社会的機能および地域経済とのかかわりを実証研究し、コーポレート・ガバナンスと制度形成に関してロシア企業の動態だけでなく、より理論的な問題提起として会社が有する社会的機能と効率の相関を論じた。本成果は『会社と社会-比較経営学のすすめ』(日本経営学会編、文理閣、2006年)に取りまとめている。制度形成において企業の社会的責任における経路依存性が見出されることを実証的に明らかにしている。また、ロシアのWTO加盟が企業に及ぼす影響を考察することで、グローバル化への反応も明らかにした。第3に、ロシア、中国、フィンランドの研究者との間で、企業のガバナンス、人的資本形成と動機付けをテーマに、共同研究・調査を組織し、最初の聞き取り調査をロシアおよび中国で実施した。本調査は従業員と経営者を対象とした聞き取り調査で、国際的な比較共同研究に発展させることを目標にしている。本調査結果については、3月に京都大学で国際セミナーを行っている。
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