2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530132
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溝端 佐登史 Kyoto University, 経済研究所, 教授 (30239264)
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Keywords | 体制転換 / ステークホルダー / コーポレート・ガバナンス / 昇進 / 直接投資 / 労働市場 / ヨーロッパ化 / 多様性 |
Research Abstract |
本年度は人的資本形成に強く影響しているコーポレート・ガバナンスとステークホルダーの相関をロシア企業において実証研究するとともに、本研究課題にかかわって経済理論的な接近をより深めた。第1に、企業のガバナンスの変動にかんするアンケートおよび労働者および経営者への聞き取り調査結果を取りまとめて、企業の構造と行動の変化を検証した。従業員の昇進および訓練システムの変容が経営を不安定化させていることを明らかにしている。本研究は、ロシア・中国研究者との国際共同研究に発展させている。企業の実証研究に関連して、複数回の現地調査を通して、ロシア企業の経営戦略を析出している。第2に、企業の法制度の変容およびその経済的影響を主に取りまとめ、複数の英文著作の論考として取りまとめた。企業法制度がりベラルな欧米モデルに接近しているにもかかわらず、ロシア独自の行動が温存されており、制度の経路依存性が明らかになる。第3に、企業組織と市場の制度の多様性の持つ意味を考えるうえで、「資本主義多様性論」が市場移行においてどのように理解されるのかを理論的に考察した。本研究は、ロシア、ハンガリー、日本の研究者との共同研究成果であり、2007年2月に国際セミナーを開催し、その研究成果を欧文書の形で3月に公表した。内的要因と外的要因の両方が多様な市場移行モデルの形成に作用していることが導き出されている。本研究成果は、国際比較の視座を提供するものである。
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