2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530132
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溝端 佐登史 Kyoto University, 経済研究所, 教授 (30239264)
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Keywords | ステークホルダー / コーポレート・ガバナンス / インセンティブ / 制度 / 労働システム / スキル / 雇用慣行 / ロシア |
Research Abstract |
本年度はロシア企業における企業組織、経営戦略、労働システムを実証的に研究することを課題とし、着実に研究成果を公表した。本研究の基礎となる実証データは主にロシア(ロシア高等経済大学)との国際共同研究成果に依拠した、そのほか多くの実証データ一次資料を渉猟して、データを整備した。本研究は、ロシアの労働システムおよび企業システムの実証研究に集中し、人的資本形成は企業システムを特徴づけており、新興市場における人的資本形成は旧社会主義経済システムの惰性を強く帯びたものであり、体制転換過程で編成された市場経済システム・企業システムに独自性を浮かび上がらせている。実証データより、経路依存的な労働システムおよびスキル形成を析出し、ロシアに独自の人的資本形成制度が温存されていることを明らかにしている。本研究成果は、2008年8月末の欧州比較経済学会などで比較経済制度・システム論の視点から報告している。 さらに、本年度は、実証研究対象それ自体がグローバル金融・経済危機のなかに包摂され、危機の実証・影響の分析が本研究において避けられなかった。そこで、とくに、本年度後期以降、ロシア、市場移行諸国における経済危機とその国内経済への影響に焦点をあてて検討し、人的資本形成にまで深く危機が浸透していることを析出した。本研究もまた、アジア圏(京都大学)ではじめて主催された欧州比較経済学会のワークショップにおいて報告し、先進諸国および新興市場諸国との危機の比較研究に貢献している。また、経済危機を主題にして研究を進め、研究論文の形で公表している。
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