2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
林 敏彦 放送大学, 教養学部, 教授 (50047487)
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Keywords | 市場制度 / デジタル社会 / 競争政策 / 国際情報交換 / アメリカ |
Research Abstract |
本研究では、デジタル経済における市場原理の役割、デジタル技術によって変容を遂げる市場機能、デジタル市場の制度的特色と法的枠組み等について、理論的・制度的・実証的分析を行い、デジタル社会における市場制度の変容の現状と課題を明らかにすることを目的としている。 初年度は、情報通信各分野の研究者約20名と政策担当者や事業者が参加する「情報通信政策研究会」を主宰し、3回の研究会と日常的なオンラインフォーラムにおいて、経済・法律・政策・ビジネス・産業構造といったさまざまな切り口から、デジタル社会における市場制度や政策の現状と課題について情報交換や議論を重ねた。その成果は13本の学術論文として、研究会のウェブサイトで公開している。 また、当初の計画通りアメリカのカリフォルニア大学バークレー校、スタンフォード大学、南カリフォルニア大学、カリフォルニア大学アーバイン校を訪ね、研究者と議論や情報交換を重ねた。 カリフォルニア大学バークレー校(UCB)では、Berkeley Roundtable for International Economy(BRIE)にも参加し、同研究グループのメンバーとの日常的研究交流の他、現地においても研究者や留学生との交流、講演、情報交換を行った。また、UCBにおいては、経済学部のスティーブ・ヴォーゲル教授と2000年以降の日本型企業モデルに関するボーゲル教授の主張を巡って議論。2007年度に当該研究課題に関する研究会に来日するよう要請。さらに、BRIE所長のザイスマン教授が進めているサービス産業プロジェクトに関連して、デジタル技術がサービス産業の生産性を高める効果をどのように発揮しているかの日米比較について議論するとともに、本テーマについて合同研究を続けることで合意した。 南カリフォルニア大学においては、ジョナサン・アロンソン教授と、デジタル通信技術がアメリカ政治に与えている影響、知的所有権、日米間の通信政策の比較、インターネットの国際的統治の仕組みについて意見交換し、今後の研究協力について合意を得た。 2年めは、引き続き「情報通信政策研究会」の実施、「BRIE」への参加、海外研究者との議論を重ね、現在、世界で最も進んだICT環境を有する日本から、市場制度や競争政策に関する分析、課題の発信を目指す。
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