2006 Fiscal Year Annual Research Report
経済危機の歴史政治経済学:大恐慌期の経済政策と経済学
Project/Area Number |
18530150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
若田部 昌澄 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00240440)
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Keywords | 経済学史 / 経済政策 / 大恐慌 |
Research Abstract |
本研究は大恐慌期を事例として、経済危機が経済学および経済政策に及ぼす影響を研究することを目的としている。 研究初年度である本年度は、(1)大恐慌当時の経済学および経済政策の動向と、(2)基礎となる政治経済学についての研究を行った。 (1)については、大恐慌が経済学に与えた影響について、単行本の執筆をすすめている。その内容は、大恐慌期までの多様な経済思想が大恐慌後の特定の思想へと組みかえられていく過程を追うもので、そこにおいては経済安定化の思想を中心にすることが理解を容易にするという仮説をたてている。この仮説に照らすと、ケインズの役割はきわめて重要ながらケインズだけが重要なわけではない。その成果は、本年度内の刊行が予定されている論文「経済政策における知識の役割-思想・政策・成果-」(野口旭編『経済政策形成の研究--既得観念と経済学の相克』)および『経済セミナー』で2007年4月号から連載中の「失敗に学ぶマクロ経済政策」において随時発表される予定である。 (2)については、現代政治経済学の研究を進めつつ、政治経済学の源流ともいうべきアダム・スミスについて、公共選択理論の創設者であるジェイムズ・ブキャナン氏へのインタビューを行った。また、アダム・スミスを題材にした論文の執筆を行っている。さらに、政治経済学と関連の深い立憲主義についての政治経済学的考察も行った。このうちインタビューについてはすでに刊行されている。立憲主義についての論文も「経済学における三つの立憲主義的契機」(川岸令和編『立憲主義の政治経済分析』)として刊行される予定である。
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