Research Abstract |
本研究の目的は,平成9年,平成14年の「全国物価統計調査」と「商業統計調査」の個票データを利用し,以下の分析を行うことである。(1)商業構造の変化と物価,小売価格の関係の分析,(2)店舗間価格差の要因分析,(3)商業統計の年間商品販売額を利用する加重平均価格と単純平均価格の比較分析,(4)全国物価地域差指数の精度評価方法の開発と地域差の要因分析。 本年度は,全国物価統計調査,商業統計調査の目的外使用申請を行い,研究目的(1)〜(4)を明らかにするために特別集計を行った。分析の中心は,厳密な品質管理が行われている財(指定商標銘柄)の価格である。 以下では研究目的別に研究結果についてまとめる。 (1),(2)では,全国物価統計調査と商業統計調査のパネル化を行い,価格分布と店舗属性の変化の関係について検討した。また,消費者物価指数の品目別価格指数の変化と,平成9年から14年の価格分布の変化についてみた。また,指定商標銘柄の店舗間の価格のばらつきは大きく,業態や店舗の立地環境,ディスカウント販売の有無などが主な価格差の要因であることを明らかにした。一方,全国物価統計調査は消費者物価指数、小売物価統計調査と関連づけて分析することが可能である。本研究では,全国物価統計調査の2次元価格分布を分析することにより,CPIの1品目1銘柄の仕組みについて考察できることや,特売価格と通常価格の関係について検討を行った。(3)では,商業統計の品目別年間商品販売額を利用して各銘柄の加重平均価格を計算し,単純平均価格と比較し,前者が後者よりも小さくなることを明らかにした。(4)では,地域間,地域内の価格差の要因について検討した。 これらの分析結果の一部は,2007年度統計関連学会連合大会,経済統計研究会,雑誌『統計』等において公表した。
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