2006 Fiscal Year Annual Research Report
文化経済学的視点に基づいた美術および美術品に関する統計的研究
Project/Area Number |
18530161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
勝浦 正樹 名城大学, 経済学部, 教授 (70224467)
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Keywords | participation / 社会生活基本調査 / ロジットモデル / 美術鑑賞 |
Research Abstract |
平成18年度は、まず、需要面から美術を分析する研究を行った。美術鑑賞という行動が、他の文化的な活動(コンサートによるクラシック・ポピュラー音楽鑑賞、映画鑑賞、演劇等の鑑賞)や娯楽的な活動(スポーツ、ギャンブルなど)と比較してどのような特徴をもっているのかに関して、ロジットモデルを用いた分析によって明らかにした。すなわち、美術鑑賞の行動の有無が、どのような個人あるいは世帯属性によって決定され、それらがどの程度の効果をもつのかを検証した。その結果、美術鑑賞はコンサート等によるクラシック音楽鑑賞と似たような特徴をもち、所得や学歴の効果が他の活動に比べて大きいことが明らかになった。学歴の効果に関しては、それを人的な資本とみなすBecker流の理論によって説明づけることができた。 また、こうした分析に関して、問題点も明らかになった。まず第1は、ロジットモデルの説明変数に、他の文化的・娯楽的活動の有無も導入すべきという点である。そのためには、推定方法として、通常のロジットモデルの推定ではなく、同時方程式モデル(多変量ロジットモデル)を適用する必要がある。第2は、個人をデータとして用いるか、家計のうちから1人だけを抽出してデータとするかに関して、データの独立性という点から、考察を行う必要がある点である。第3は、ロジットモデルに用いた説明変数の選択で、年齢・学歴・所得・性別といった基本的な情報だけでなく、職業などを積極的に用いたモデルをもとに、文化経済学的な観点から、その結果のインプリケーションを考察する必要がある。再推定を含めて、こうした問題を解決するためにはミクロデータを用いる必要があり、平成19年度にその利用を申請した上で、推定を行う予定である。 また、供給面として美術市場の価格分析を行うための、文献の収集と解題、データの存在の確認なども行い、平成19年度以降の分析の準備とした。
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Research Products
(3 results)