2008 Fiscal Year Annual Research Report
拡大EUで進展する国際ネットワーク型生産に関する研究
Project/Area Number |
18530162
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 均 Yamagata University, 人文学部, 教授 (10141269)
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Keywords | 国際ネットワーク型生産 / EU拡大 / 国民経済化 / 中東欧諸国 / 欧州協定 / 国際分業 / 直接投資(FDI) / 経済成長 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第1に、EUの東方拡大に伴ってEUと中東欧諸国との間に急速に進展した国際ネットワーク型生産の現状を分析すること、第2に、国際ネットワーク型生産の基盤となる直接投資が中東欧諸国の経済成長の動力となっていることを90年代に直接投資をテコに急速に成長したアイルランドとの比較のもとに検討すること、である。 90年代前半は中東諸国への直接投資の中心は、ハンガリーが代表してきたが、後半期には、チェコ・ポーランドなどへと拡大してきた。04年のEUの東方拡大以降はバルト3国やその他の中東欧諸国にも急速に直接投資が拡大し、これらの国の経済成長の基盤を形成してきた。業種的には、金融などの非製造業から、自動車・電気などの製造業へ拡大し、直接投資の担い手も、EU諸国、USA、日本、アジア諸国と多様化している。90年代以降に市場経済化してきた中東欧諸国に対し、欧州協定の締結等により、EUが市場開放し、04年に中東欧にEUが拡大したことで、いわば広域での国民経済化を図ったことが、EU産業企業が直接投資を拡大することで国際ネットワーク型生産を展開した。 日欧米の多国籍企業の国際ネットワーク型生産の実情の一端を検討するために、昨年のドイツ、チェコに引き続き海外調査をベルギー、イギリス、アイルランドで行った。ベルギーにおいてはマクロ経済の実態把握をし、イギリスでは折からの国際金融危機の一端を実検し、アイルランドでは日系中堅企業の中東欧への展開の萌芽形態を見聞してきた。 直接投資と中東欧諸国の経済成長のマクロ的関係を検討し、その下での国際ネットワーク型生産の実態を明らかにすることを検討課題にしている。
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