2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530168
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
石塚 浩美 Ochanomizu University, COE, 研究員 (20401614)
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Keywords | 中国 / 企業 / ジェンダー / 経済学 / 労働経済学 / 実証分析 / 調査 / 昇進構造 |
Research Abstract |
申請研究の目的は、申請代表者のそれまでの研究に基づいていた。公開データなどの情報が少ない中国の特に北京市の居住者を対象とする大規模調査の結果データを用いた申請代表者の先行研究において、雇用労働者の職位の男女比は大差が認められなかったものの、一方、男女間の賃金格差のうち「要素価格差」(男女の配置格差を考慮しても残る男女間賃金格差)が認められた。男女差に焦点をあてた中国企業研究は殆どおこなわれておらず、中国企業および従業員を対象に調査をおこなうと、企業レベルにおける男女差が検証できるのではないかと考えた。 したがって本研究では、中国企業のホワイトカラーにおける昇進要因の現状分析および実証分析をとおして、男女の処遇の違いを検証した。そのため、当初の計画どおり、労使双方に調査をおこなった。(i)人事担当者を対象にインタビューおよび調査票記入により経営者側の理想と実情のずれを探る調査、および(ii)一部署(原則)にいるすべてのホワイトカラー(事務系従業員)を対象に自記式の調査票により、実情を整理し、分析をおこなうための調査である。 調査対象企業の選定にあたり、中国経済の中心の一つである広東省を中心とする珠江デルタに点在し、国有・非国有セクターの所有形態、および産業の偏りを避けた。2006年7月〜8月、現地の研究者の協力を得て、筆者も同行し、中国・珠江デルタ地域にある7企業の人事担当者と、当該企業のホワイトカラー従業員272人(実証分析の有効サンプル数206)を対象に調査をおこなった。 研究手法は、職位に注目して、日本における一般従業員、係長クラス、課長クラス、部長クラスに分け、昇進要因を、国有セクター、非国有セクター別に検証した。推計に際しては計量経済学のモデルを適用し、2職位ごとの要因分析をプロビットモデルで、全職位を通じた要因分析を順序プロビットモデルでおこなった。 結果として、非国有、国有の両セクターで男女間昇進格差が認められ、部分的にではあるが「男女間の昇進格差は、非国有セクターの方が国有セクターよりも大きい.」という仮説が認められた。 企業レベルの当該研究により、お茶の水女子大学博士号学位論文「中国労働市揚のジェンダー分析-経済・社会システムからみた中国都市部女性の就業分析-」(主査:篠塚英子教授)の「経済・社会システム」、すなわち、家庭レベル、企業レベル、市場レベルの3つのレベルからのアプローチが完成した。なお、当該研究結果は、現在、個別論文として投稿中である。
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