2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会的保護政策や税制が家族形成および労働供給に与える影響:多国間比較
Project/Area Number |
18530169
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
永瀬 伸子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (30277355)
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Keywords | 北京 / 就業履歴 / 出産離職 / 就業継続 / 日本 |
Research Abstract |
社会的保護政策や税制が家族形成および労働供給に与える影響:多国間比較においては、日本では、27-33歳大卒女性の仕事の履歴と家庭観について、ヒアリング調査を行ない、大量調査でみられる女性の出産離職が減らない、という結果について、質的調査として検討した。仕事の将来が見えないのでやめたという回答が少なくなく、大企業において、女性が仕事をするモデルがまだ見えてはいない。また日本の優良企業の夫婦データの量的分析をしたが、フルタイム共働き夫婦が子どもをもった場合には、葛藤が高まることが見出され、現在のワークライフバランス政策でも、フルタイム共働き夫婦には不十分と示唆された。 同じアジアにおける就業行動と家族形成について、お茶の水女子大学が21世紀プログラムの中で、2004-2007年にかけて、5年間のパネル調査を北京およびソウルで実施した。研究代表者も調査にかかわったが、北京の都市中心部と対象を限っていたため、2007年には河北省の農村部で500サンプルの農村調査を実施し、農村部との比較を行った。この結果、夫婦2人の収入で家計がまかなわれるのが当然となっている都市部と、力仕事である農作業に従事する農村部とでは、女性が仕事を持つべきという規範の強さが大きく異なることが見出され、家族観や価値規範は政策ともかかわりが強いことが示唆された。2006年には北京でフォーカス・グループ・インタビューを行ない、改革開放時期に労働市場に出た者と文化大革命の時期に労働市場に出た者の仕事と家庭の在り方について語ってもらった。その結果、改革開放期において、市場圧力が強まると、仕事をしながら子供を持つことが困難になったとの認識が高まることが見出された。
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Research Products
(8 results)