2006 Fiscal Year Annual Research Report
価格変数が得られない財・サービス間の代替・補完関係を推計する方法の開発について
Project/Area Number |
18530171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鳥居 昭夫 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究科, 教授 (40164066)
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Keywords | 代替性 / 補完性 / 交差弾力性 / ロジット分析 |
Research Abstract |
一般に財の問・サービス需要の代替性・補完性は交差弾力性の正負によって定義されるが、推計は一般に非常に困難である。本研究計画では、価格データが利用可能ではない、ないしは存在しないときに、多くの需要主体にわたる購入行動ないしは消費行動の実績データを用いて、財の需要間の代替性・補完性を推計する方法を開発し応用することを目的としている。さらに、確立した推計方法を用いて、政策的インプリケーションの高い産業分野を対象に、実際に財・サービス間の代替性・補完性を推計することを目指すものである。 本年度は、確率的効用を仮定した離散選択モデルを構築し、複数の国内ワークショップおよび研究会において議論を重ね、その成果を論文にまとめた。概要は以下の通りである。すなわち、確率的効用モデルの下で、代替性・補完性を示す指標として適切な変数が存在する。この変数は、Schmidt and Strauss(Econometrica,1975)による同時決定ロジット分析によって推計が可能である。一つの例として、価格変数を持たないテレビ視聴行動に適用が試みられ、直感とそれほど違わない結果が得られた。この論文は、19年度ヨーロッパ産業経済学会で報告すべくすでに申し込み、現在レビューの過程にある。 さらに、この結果について、仮想的効用関数を持った消費主体の行動をシミュレートすることによりサンプルを作りだし、提示された推計方法の有効性を確認している。そのため、ワークステーションを設置し、現在シミュレートを繰り返している段階にある。現在のところ、推計方法の有効性が一定程度認められている。さらに、検定を実施するに足りるまで、この過程を繰り返す必要がある。
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