2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530172
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
沓澤 隆司 Osaka University, 社会経済研究所, 准教授 (90418773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50176913)
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Keywords | 不動産証券化 / REIT / プロビット分析 / パネル分析 / 操作変数 / ROE / トービンのq / ・外部コントロール |
Research Abstract |
本研究は、開発型証券化を活用した都市再生に関する実証研究を行うものである。本年度は、前年度に引き続き機関投資家の投資行動とREITの収益性についての分析を行った。 1機関投資家の投資行動 前年度に引き続き、不動産証券化市場における流通性、流動性を検証するため機関投資家の投資行動に関するアンケート調査を活用し、プロビット分析やトービット分析を通じて、いかなる属性を有する投資家が不動産証券化商品を選好するかについての分析を行った。機関投資家の場合、個人投資家の場合と同様に、リスク選好的な投資方針を有する投資家がREITを始めとする不動産証券化商品に投資する傾向が認められた。このことは、リスク回避的な傾向の強い公社債よりは株式、不動産に投資対象としては類似していることを示していると考えられる。 2REITの収益性分析 次に、開発型証券化の評価手法を検討するため、不動産証券化商品の中でも普及が進み、情報公開が進んでいるREITの収益性について、いかなる要因がその収益性(ROE)に影響をしているかを操作変数を用いたパネル分析を行い、またトービンのq((株式の市場価値+有利子負債)/(総資産の財市場での価値)に影響する要因について回帰分析を行った。この結果、有利子負債割合や資産の空室率がROEやトービンのqに有意に影響していることが分かった。 以上の分析からは、不動産証券化商品は、リスク選好的な商品として評価され、収益性には有利子負債割合によるレバレッジ効果と経営に対する外部コントロール効果が大きな影響を与えていることが明らかになった。今後、開発型証券化による都市再生を図っていく観点からは、リスクを補う信用力の補完と外部のコントロール効果を確保できる内部のガバナンスの確立が必要と考えられる。今後は、不動産証券化の運用法人の財務諸表データの蓄積とその分析を通じて、開発型証券化の効率性の検証を行っていく必要がある。
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