2006 Fiscal Year Annual Research Report
中小企業のユビキタス・ネットワーク導入の実態調査とネットワーク効果の理論的研究
Project/Area Number |
18530176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
野田 哲夫 島根大学, 法文学部, 教授 (30243413)
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Keywords | ユビキタス / かんばん方式 / モジュール化 / RF-ID / 組込みシステム / 標準化 / 中小製造企業 / 電子タグ |
Research Abstract |
日本の中小製造企業における電子タグ(RF-IDタグ)=電子荷札を利用した物流・在庫管理の導入状況の実態調査を進めた。特にトヨタ自動車でかんばん方式を積極的に導入したNECパーソナルプロダクツ米沢工場の調査において「RFIDかんばん」導入による部品供給ベンダーに対する部材の発注・納入指示伝達のリアルタイム性や生産・発注計画のシミュレーションや需要予測などによる労働生産性の上昇(10%以上)の計測を行った。「系列」を中心としたかんばん方式をRF-IDカードによってIT化することによって、かんばん、生産ラインのトレーサビリティ、生産管理、というサプライチェーンの各所においてITによって強化された自働化が進んでいることが明らかになった。この実態調査と併行して、生産過程においてシステムを構成する機能をグループ化して分解する概念として登場した「モジュール」の概念を、企業間のシステムと企業間で取引される部品=「商品」自体の「モジュール化」=「標準化」として捉える理論的研究を進めた。 また、RF-IDや組込みシステムの開発などユビキタス・ネットワークを支えるIT開発自体の調査も進めた。組込み式のコンピュータの市場拡大にともない、ソフトウェアの開発環境をめぐっては不足する人材を低コストで獲得していくための「標準化」が製造業同様に進んでいることが明らかとなった。製造品における組込みシステムの開発比率が高まるにつれて、製造業における「電子かんばん方式」と同様に、ソフトウェア開発行程においても「カイゼン」の要求が組込みソフトウェア開発者や下請け情報サービス企業へ強められている。これらの調査結果については学会(経済理論学会や中四国商経学会)や紀要論文(「ユビキタスエコノミー」下における組込みソフトウェア生産労働の実態)において発表を行った。
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