2006 Fiscal Year Annual Research Report
中東欧進出日系企業の世界戦略・地域戦略と企業内ネットワーク構築
Project/Area Number |
18530180
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大石 達良 高知大学, 人文学部, 教授 (00223719)
|
Keywords | 日本企業 / 国際経営 / 世界戦略 / 地域戦略 / 企業内ネットワーク / 拡大EU / 西欧 / 中東欧 |
Research Abstract |
今年度の研究では、中東欧地域に生産拠点を築いている日本企業に関して、西欧の既存生産拠点と中東欧の新規生産拠点が、どのような役割分担・分業関係を形成しているか、またこの役割分担・分業関係がどのように変化してきているかについて検討した。今年度は、日本企業の欧州地域展開の中で、自動車産業とともに最も重要な産業の一つである電気機械産業を調査の対象とした。 日本企業の西欧拠点と中東欧拠点との役割分担は、大きく2つの類型に分けることができる。一つは、水平的分業関係つまり西欧拠点と中東欧拠点で異なる製品を生産するタイプである。もう一つは、垂直的分業関係つまり一つの製品のある生産工程を西欧で別の生産工程を中東欧で行うタイプである。いずれのタイプでも、西欧拠点が技術水準・付加価値の高い製品や生産工程を、中東欧拠点が労働コストが重要な製品や生産工程を受け持っていた。このような補完関係により、日本企業の欧州における生産体制は強化されてきている。とくに垂直的分業による補完関係は、既存の西欧拠点の競争力強化にも直接的に繋がっている。 その一方で、企業によっては、西欧拠点の製品や生産工程をしだいに中東欧拠点に移転してきている。また中東欧拠点の製品や生産工程をより東方地域に移転する計画をもつ企業もある。このような企業の中には西欧拠点を完全に閉鎖したものも見受けられる。しかし、多くの場合、このような役割分担の変化の中で西欧拠点は研究開発等の新たな役割を見出してきている。つまり、日本企業の拡大EU域内の諸拠点は、その役割分担を動態的に変化させながら、新たな企業内地域ネットワークを創出しつつあると言うことができる。
|