2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530188
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
飯塚 敏晃 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 助教授 (00406810)
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Keywords | 医薬品 / 規制 / 情報 / 産業組織 / 経済 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究では処方薬の消費者向け直接広告(Direct-to-Consumer Advertising of Prescription Drugs:以下DTC広告)の影響について米国のデータを用い分析を行った。米国において、DTC広告に関する規制が1997年に緩和され広告量が激増したことから、DTC広告が医師や患者の行動に及ぼす影響について激しい論争が繰り広げられてきた。DTC広告により市場全体が拡大することは先行研究(Iizuka and Jin,2005等)により明らかになってきたが、いったん患者が医師のもとを訪れた後、DTC広告が更に医師の処方に影響を及ぼすかについては更なる分析が必要である。 2006年度は後者に関してアレルギー鼻炎用薬を取り上げ、個別患者の処方データーを用い実証分析を行った。Discrete Choice Modelを用いた分析からは、DTC広告が処方薬の選択に統計的に有意な影響を及ぼすとは認められなかった。従って一旦患者が医師のもとに訪れた後は、DTC広告が処方に及ぼす影響は限定的と考えられる。一方医薬品企業が医師向けに行う販促活動(ディーテイリング、専門雑誌への広告等)は、処方薬の選択に統計的に有意な影響を及ぼすことが認められた。これらの推定結果をIizuka and Jin (2005)の結果とあわせて考えると、処方薬のDTC広告は薬効クラス全体の需要を増加させるが、薬効クラス内での医師の選択には影響が小さいと考えられ、公共財的な性格を持つと考えられる。またDTC広告と医師向け販促活動は、処方薬のマーケティングにおいて異なる役割を果たすこと考えられる。
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