2006 Fiscal Year Annual Research Report
医療費抑制と良質の医療を両立させる地域医療(保健・医療・福祉の連携)の国際比較
Project/Area Number |
18530196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
新井 光吉 埼玉大学, 経済学部, 教授 (90212604)
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Keywords | 地域医療 / 保健・医療・福祉の連携 / 地域保健センター(CHC) / メディケイド / 医療コスト / 医療の質 / 医療のアクセス / プライマリーケア |
Research Abstract |
本年度は北欧諸国、日本、アメリカにおける地域医療の実態を調査・研究した。まず、日本では広島県尾道市で実施されている「尾道方式」を調査した。「尾道方式」は主治医を中心に他の医療・福祉関係者が緊密に協力し合って医療と介護の連携を図り、医療費の抑制と患者のアメニティ向上に成果を挙げてきた。地域医療で有名な他の地域と比較して特に注目すべき「尾道方式」の特徴はそれが都市地域でも実践可能であるという点にある。地域医療活動のモデルの1つとされてきた「御調方式(町立みつぎ総合病院)」は農村地域でのみ実施可能な方式と考えられる。御調町が2006年4月に尾道市に合併されたことから、尾道市は都市型地域医療の「尾道方式」と農村型地域医療の「御調方式」を並行して実践しているユニークな地域となった。みつぎ病院の山口昇前院長から詳細な資料、尾道市民病院の山脇副院長からも研究資料を含む貴重な資料やアドバイス、ケアカンファレンスへの参加機会など頂戴し、都市型地域医療モデルを構築する上で大いに参考になった。しかし論文にまとめる作業は現段階ではまだ半分程度に止まっている。次にアメリカについては、Library of CongressでCHC(Community Health Center)に関する膨大な資料を収集してきた。CHCに関する研究書・論文は日本ではあまり入手できなかったが、アメリカでは良質の資料に絞っても相当な量を収集できた。これらの資料に触れる中で、CHCが1960年代の「偉大なる社会政策」によって生み出され、アメリカの社会福祉政策と密接な関連を持ち続けながら発展してきたことを知り、拙著『アメリカの福祉国家政策』と研究の上で深く結びついている点に気づいた。なお、アメリカの医療問題については松村祥子編『欧米の社会福祉』(日本放送協会)第6・8章にその一部をまとめておいた。最後に北欧諸国については平成19年度に調査を行うべく準備を進めている。
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Research Products
(2 results)