2006 Fiscal Year Annual Research Report
医療・福祉サービス領域の雇用創出と労働力の専門職化に関する英仏2カ国比較研究
Project/Area Number |
18530199
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
三富 紀敬 静岡大学, 人文学部, 教授 (80135227)
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Keywords | 医療 / 福祉 / ケアワーク / 専門職化 / ケアワーカー |
Research Abstract |
英仏両国における医療及び福祉の領域における労働力の専門職化について検討するに先立って、まずは、かかる専門職化が問題になる前提、すなわち労働諸条件と労働力確保の困難性、その表れとしての労働力定着率の低さと移動率の高さなど、並びに専門職化に向けた動きに関する検討を行った。 これに従えばイギリスにおける在宅介護の供給主体はかっての自治体を主要な主体とするものから、今日では民間部門とりわけ民間営利部門を主体とするようになり、このことから在宅介護を担う労働力も民間営利部門に雇用される労働力を主体にする状況へと大きく変化を遂げている。また、地域に暮らす要介護者の介護度の上昇を背景にサービス提供時間は長くなる傾向にある。 民間部門在宅介護労働者の週平均労働時間は26-30時間である。かかる労働者の主力は性別に女性、平均年齢は42歳である。勤務年数は5年以下が70%前後を占めるなど総じて短い。要介護者の自宅間の移動に要する費用を支払う事業所は70%を下回る。移動時間の有給扱いは更に低く40%を下回る。年間の移動率は20%ほどである。これらのことから介護労働者の確保が難しく、結果として事業規模の縮小さえ余儀なくされる事業所も確認される。採用と定着化に向けて職業訓練などの方策が取られているものの、労働条件の引き上げやキャリア形成機会の提供は格段に少ない。職業訓練機会の提供から国家職業資格の取得準備中との労働者が増えている。 以上のイギリスにおける状況と比較するに値するフランスの資料に関する検討は、次年度の課題であり、この作業を経て専門職化の前提に関わる英仏比較が可能になると思われる。
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Research Products
(3 results)