2007 Fiscal Year Annual Research Report
中進工業国としての中国・ブラジルにおける技術革新と産業集積に関する実証研究
Project/Area Number |
18530205
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
濱口 伸明 Kobe University, 経済経営研究所, 教授 (70379460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 嘉大 (財)国際東アジア研究センター, 研究員 (30373210)
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Keywords | 知識外部性 / 産業集積 / 経済発展 |
Research Abstract |
平成18年度に、中国、ブラジル、韓国で技術者を対象にして実施したアンケート調査の結果を分析したところ、韓国の大徳バレーと北京市中関村地区に集積している技術者の平均像は次のようなものであった。(1)高学歴・高所得で、30代の若い世代に属している、(2)大徳では公的機関のほうが民間企業よりも平均所得が高いが、中関村では逆であり、大徳ではスピンオフのインセンティブが弱い、(3)大徳では他組織との共同研究を実施している技術者は少なく地域的な連携が不十分である。(4)中関村では共同研究の活用頻度が高いが研究開発の成果は大徳よりも小さい。(5)地域内の情報交換の場として、中関村ではセミナーや交換会、大徳では地域内の親睦を目的とした各種団体が機能を果たしている、(6)両地域とも地域のインフラに対する評価は高いが、生活の場としてはコストの高さやアメニティの低さに不満がもたれている。この分析結果の一部を「大徳バレーと中関村の技術者」という論文として刊行した。また以前に行った中小企業経営者を対象にして中関村と大徳、およびソウルで行ったアンケート調査の結果を再分析した論文(『応用地域学研究』所収)では、中関村では地域のインフラをメリットと考えている企業が研究開発を活発に行っている一方、大徳では地域内連携の充実をメリットと考える企業ほど自社の研究開発が相対的に小さいことから連携と自社の研究開発が代替的な関係にあることが示唆された。これらの研究は研究対象地域において情報の伝達経路やその内容に踏み込んで知識外部性の役割を明らかにする貢献をしている。
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Research Products
(4 results)