2008 Fiscal Year Annual Research Report
中進工業国としての中国・ブラジルにおける技術革新と産業集積に関する実証研究
Project/Area Number |
18530205
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
濱口 伸明 Kobe University, 経済経営研究所, 教授 (70379460)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 嘉大 神戸大学, (財)国際東アジア研究センター, 研究員 (30373210)
|
Keywords | 産業集積 / 中国 / ブラジル |
Research Abstract |
本年度は、平成18年度に中国とブラジルで研究開発に従事する企業、大学、研究機関の研究者に対して実施したアンケート調査の結果を利用して、職場環境や地域環境が自身の研究パフォーマンスに与える影響と、周囲の研究者や研究テーマと関連する事業を行う企業との連携の状況について分析を行った。どちらの国のケースでも、研究者は個人所得において上位に属しており、経済的・社会的地位に恵まれている。中国のサンプルの平均年齢は30歳代半ばで若く、ブラジルのサンプルの平均年齢は40歳半ばであった。ブラジルの技術者/研究者について以下のことが明らかになった。研究者コミュニティ内部の交流は進んでいると思われるものの、産学協同はまださほど活発ではない。共同研究者との近接性は活用されている。研究者は職場における時間や研究テーマ設定の自主性や社会的地位には満足しているが、経済的な研究環境は不十分と考えている。自分が居住している周辺の環境については研究と直結するような要因以外に創造性を促進する魅力を余り感じていない。中国の北京・中関村地区の技術者/研究者について以下のことが明らかになった。ほとんどの技術者が他の組織の技術者と共同研究を行っており、相手先はほとんどが北京市内にいる。ただし、連携が強いことは必ずしも研究のパフォーマンスと関連してない。また中関村の研究者からハード面のインフラの評価が高い一方で、生活の場として残すとの高さやアメニティの低さについての不満がもたれている。本研究から、中国・ブラジルのどちらも、技術者の地域的な連携が弱いか、またイノベーション創出に活用されておらず、集積のメリットが現れていない現状が確認された。中進工業国がより高い発展段階に進むための課題であるイノベーションの能力の拡充のために、地域的な外部経済を資源とする環境整備が必要であるという政策含意が得られた。
|
Research Products
(5 results)