2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
外谷 英樹 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 助教授 (40285226)
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Keywords | 自然災害 / 経済政策 / 経済発展 / 国際研究者交流 / 米国 |
Research Abstract |
Using Natural Disasters as a Test of Fiscal Decentralization Performance Hideki Toya and Mark Skidmore 本稿では、政府の地方分権化が自然災害における人的被害にどの程度影響を与えるのかが検証されている。政府の地方分権化の指標には地方政府支出の対GDP比および対中央政府支出比の2つが用いられ、また自然災害における人的被害の指標には自然災害による死者数を用いている。1960年から2005年における100力国以上の国々からなるパネルデータを使用して、政府の地方分権化と自然災害による人的被害の関係の回帰分析が行われている。 自然災害の人的被害に影響を与えるその他の経済的要因をコントロールした上で得られた結果は、より地方分権化された政府構造をもつ国ほど、自然災害による人的被害が少なくなることを示すものであった。またサンプルをOECD諸国と発展途上国に分けて行った推計では、地方分権化が人的被害を軽減させる効果は発展途上国においてより顕著なものであることが示された。更に自然災害を、比較的予想可能な気候的災害(台風、洪水など)と予想困難な地質的災害(地震、火山など)に分けて、政府の地方分権化の効果を推計した結果、地方分権化は気候的災害において被害を軽減させる効果があることが示された。その他の自然災害による人的被害を軽減させる経済的要因として、より一人あたり所得が高く、より人的資本(学校教育年数)が高く、またより貿易が活発な国ほど、人的被害が軽減されることが確認された。 これまで、政府の地方分権化が与える経済的影響に関しては、例えば経済成長、経済発展に与える効果が分析、議論されているが、我々の分析結果は、政府地方分権化の効率性に関して新たな視点を提示するものである。
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