2006 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンソフトウエア産業の成長と中小企業の競争力強化の相互連関に関する研究
Project/Area Number |
18530209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森澤 恵子 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 教授 (60137180)
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Keywords | フィリピン / ICT産業 / ソフトウエア開発 / 中小企業 / 産業競争力 / 中小企業金融 / 産業組合 / マイクロ企業 |
Research Abstract |
(1)平成18年度は日本の中小企業のIT化の進展状況について基礎的文献の収集に努めた。日本の中小企業は課題として、IT化による経営効率化、マーケティングの革新等を掲げているが、IT化への資金配分は限られている。他方、日本の中小のソフトウエア企業の多くは、元請けの大手のソフトウエア企業の2次下請け、3次下請けの仕事をし、厳しい価格切り下げ要求を受けて中国、フィリピン、ベトナム等へのアウトソーシングに乗り出している。しかし、国内中小企業との取引については、積極的な取り組みが少ない。中小ソフトウエア企業への聞き取りによれば、支払いの問題、発注の仕方等多くの難しい問題があると言う。 (2)他方フィリピンの状況は日本とはかなり異なる。平成18年度では、フィリピンにおける中小企業の発展支援のための政府や外国からの援助プログラムについての文献収集に努め、それらが中小企業におけるIT化をいかに位置づけているかを調べた。それによると個別の中小企業内におけるIT化の推進を課題として掲げるよりは、公的セクターの中小企業支援策にITを積極的に活用するというスタンスであることが判明した。フィリピンの中小企業は日本と比べて規模も小さく、技術レベルの低い企業が圧倒的に多い。IT化による経営改善の前に取り組まなければならない基本的な経営改善、技術改善の課題が多い。フィリピンの中小のソフトウエア開発企業も海外からのアウトソーシングの仕事を優先している。 (3)このよう状況にあって、フィリピンのソフトウエア産業の発展と中小企業の競争力強化の相互連関を探る本研究の今後の方向として、中小企業が多く参加している業界団体(例えば家具、食品加工、装飾品、アパレル等)に対して、公的支援(フィリピン政府、地方政府の支援や外国援助等)という方法で、フィリピンITソフト産業の利用によって何が出来るかについて、その可能性と実現性について研究することが1つの重要な方向になると考えられる。
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