2008 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンソフトウエア産業の成長と中小企業の競争力強化の相互連関に関する研究
Project/Area Number |
18530209
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
森澤 惠子 Osaka City University, 大学院・創造都市研究科, 教授 (60137180)
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Keywords | フィリピン / ICT産業 / O&O産業 / ソフトウエア開発 / オフショアリング / BPO / サイバーサービス・コリドール / 中小企業 |
Research Abstract |
(1)フィリピンITソフトウエア産業の生長率はここ数年、コールセンターやBPOの高い成長率(年成長率40〜50%:収入ベース)と比較すると30%程度(収入ベース)であったが、2008年になるとITソフトウエア部門の成長率(収入ベース)は42%と高い成長率を示す(BPAP資料)。ITソフトウエア業界からのインタビューでもITソフトウエア産業の好調、また日本からの問い合わせや視察も増えているということであった。ITソフトウエア産業の高成長の主要な要因は欧米、特に米国からのオフショアリングの増加であり、国内産業からの需要は依然弱い。(2)本研究テーマとして、フィリピンのITソフトウエア産業のより一層の生長のために、国内中小企業のIT化の促進によるITソフトウエアの国内需要の掘り起こし、その結果による国内中小企業の競争力強化という、相乗効果による経済発展の可能性を追求した。しかし現実の展開は違った方向から生じつつある。0&0産業と零細・中小企業の発展のリンクは中小企業のIT化によるよりも、フィリピン全土へのサイバーサービス・コリドール(New Wave City)計画の急速な展開、その波及効果による、地方の零細・中小企業への需要創出(食糧・衣料・住居・交通等関連等々)の方が大きい。(3)DTI(貿易産業省)のSMEDP2004-2010の進展状況は当初の計画通りには進んでいない。国内全土の零細・中小企業の成長促進・発展はアロヨ政権の「中期開発計画」の主要な課題であるが、IT化による中小企業の発展という発展図式よりはサイバーサービス・コリドールの全国展開による波及効果によって消費関連の様々な中小企業の発展の可能性が生じつつある。ただこのような消費関連の零細・中小企業向け需要の創出、それによる中小企業の成長がEコマースのようなIT需要、経営効率化のためのIT化へと繋がっていく可能性は残されている。
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